パンデミックによる異例なシーズンを過ごすフットボール界。プレミアリーグ前半戦を首位で折り返したリバプールだが、クリスタル・パレスでの勝利以降は不調に陥っている。本職センターバックが怪我で不在の影響もあるのだろうか、ファイナルサードでのチグハグさが顕著だ。
守備に人数をかけ、カウンターを狙う相手チームに対して、ゴール前で崩しきれずに無得点に終わる。さらに、前がかりになったところを効果的なカウンターであわや失点の場面も少なくない。アリソン・ベッカーやファビーニョ、ジョーダン・ヘンダーソンの粘り強い守備で失点数も少ないものの、得点が全く入らずに、引き分けか負けが続いている。
コンディションの不調も目立ち、とくにフロントスリーやサイドバックの身体にキレが見られない。リバプール最大の特長が過密スケジュールの影響をもろに受け、一発で仕留めることすらできていない。また、近年の課題であるゴール前を固めた相手への対処が改善できず、チアゴ・アルカンタラとの連携が未成熟で、もう少し時間がかかりそう。
得点に苦しむリバプールに対して、元イングランド代表DFガリー・ネビルは、爆発的なフロントスリーを脅かすバックアップ選手の少なさが影響していると指摘している。
「私からすれば、マンチェスター・ユナイテッドが試合をコントロールしてように感じている。」
「リバプールは3年間に渡り、ノンストップでプレーし続けてきた。そして、4年目はいつも燃え尽き症候群に陥る。」
「3年間、彼らは信じられないほどに素晴らしかった。今年は調子が上がってないけど、それが普通だよ。」
「彼ら(フロントスリー)に休養を与えられた試合もあったけど、彼らは休まなかった。」
「フロントスリーの控え組であるシェルダン・シャキリ、南野拓実、ディボク・オリギらはバックアッパーとして十分じゃない。」
「リバプールにとっての問題はフロントスリーではなく、ディオゴ・ジョッタの負傷が計算外だった。3人の控え組が物足りないことが、マンチェスター・シティにも追い上げを許している理由だろう。」
ディオゴ・ジョッタの離脱が大きすぎる痛手だったことは、誰もが認めるところ。唯一フロントスリーと共存でき、得点もしっかりと奪い、フロントスリーのどのポジションでもプレーできる。ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネ、モハメド・サラーにとっては、強力なライバルが出現となった。
しかし、現時点ではジョッタが離脱中。そして、ガリー・ネビルの指摘の通り、控えるシャキリ、南野、オリギが代役を務められるレベルにいないことは明白である。それぞれポジションを変えて、活躍できるポジションを探っていたユルゲン・クロップ監督だったが、結果が伴っていない。負傷者が復帰しており、その必要性も薄れてきている。
客観的にもマンネリ化が目立つフロントスリーにも解散の時期が来ているのかもしれない。対策が徹底的に研究されており、年齢も30歳目前で爆発的な成長は望めない。モハメド・サラーには移籍の噂が付き纏っており、若手有望FWとの入れ替えを考慮しても良いだろう。
話が逸れたが、今夏でのバックアップ陣の総入れ替えも考えうる。右ウイングには、ローン先で大ブレイク中のハーヴェイ・エリオットがおり、ディオゴ・ジョッタも2月には復帰見込み。あと1人前線の選手を獲得できれば、枚数は揃う。
シェルダン・シャキリやディボク・オリギには、昨年夏から移籍報道が頻繁に出ており、シャキリについては退団直前に迫った経緯がある。南野拓実も自身のキャリアを考えると、退団でなくとも、ロン移籍で他のクラブに移る選択肢も頭をよぎる。それぞれ獲得を狙うクラブは複数存在していると見られる。
当落線上にいる選手たちにとっては、今後半年間の活躍が必須条件。来シーズンの陣容を妄想しながらも、控え組の奮起を期待したいところだ…