ボルシア・ドルトムントのアカデミーで才能を見せ付け、10代の頃からユルゲン・クロップ監督が率いたトップチームでタイトル獲得の立役者になったマリオ・ゲッツェ。2010年には最年少記録でドイツ代表にも招集され、まさに神童として世界中から注目を集めた。
2013年には、バイエルン・ミュンヘンに移籍し、さらなる栄冠が待ち受けているはずだった。しかし、ドイツ王者ではドルトムント時代の輝くを見せるに至らず、キャリアは下り坂に。そこに手を差し伸べたのは、かつての恩師だった。
2015年にリバプールの監督に就任したクロップは、2016年の夏にドイツ時代の教え子の獲得に動いていた。元ドイツ代表MFは当時自宅に招待されたことを明かし、説得されたものの、タイトルを優先した結果、古巣クラブに移籍することを決めたと経緯を吐露した。
「2016年、僕はイングランドのリバプールという有名なチームに移籍しかけた。」
「そこの監督がユルゲン・クロップという人だった。」
「リバプールの彼の家に行って、妻と一緒にリビングルームに座ったんだ。」
「ユルゲンが特別なのは、マリオという人間を見ていることだ。彼は人生全般について聞いてきた。」
「 “マリオ、たくさんプレーして、ここで楽しく過ごすんだ。それが君にとって一番大事なことなんだ。このクラブは素晴らしい。考えてみてくれ!”ってね」
「僕はすぐにでも勝ちたかった。リバプールはイングランドで8位に終わったばかりだったし、ドルトムントはドイツで2位だった。」
「だから僕は引き返した。でも、ユルゲンとの特別な旅を逃したとは思っているよ。」
「彼がリバプールで偉大なチームを作るために時間が必要だったことを理解していなかった。」
「僕はすぐにチャンピオンズリーグでプレーする必要はなかったね。」
The Player’s Tribune
2016年にドルトムントに戻ると、2020年にはPSVアイントホーフェンを経由し、2022年からはアイントラハト・フランクフルトに加入。経験に基づいたパフォーマンスで、チームに絶妙な味付けを加えている。
今は32歳になった元神童は、今後どのようなキャリアを歩むことになるのだろうか…?