当時ヨーロッパの舞台を席巻したモナコの一員として活躍したブラジル人MFファビーニョは、2018年の夏にリバプール移籍が決まった。クロップ体制に欠かせない守備的MFとしてすぐにフィットすると、ボールを奪い去る役割を全うした。
アンフィールドでは通算219試合で11ゴール11アシストを記録し、ブラジル代表としても29試合でピッチに立ってきたファビーニョは、30歳を前にサウジアラビアのアル・イテハドに旅立った。
ジョーダン・ヘンダーソンのようにすぐにヨーロッパに戻る選手もいる中、サウジ・プロ・リーグでここまで67試合で4ゴール5アシストを挙げており、現在はローラン・ブラン監督率いるクラブで活躍を続けている。
31歳になったブラジル人の守備的ミッドフィルダーは、リバプール時代を振り返ると、クラブでの経験やサポートは忘れがたく、ファンたちの愛情にも感心していることを話した。
「リバプールは素晴らしいクラブで、すべてにおいて僕たちを助けてくれる。」
「ピッチの上だけでなく、人生においても。僕と僕の家族のためにしてくれたことすべてが優れていた。こんなものは見たことがない。どこへ行っても、イングランドだけでなく、サポーターたちはクラブと選手たちに多くの愛情を示してくれたよ。」
The Guardian
ファビーニョはまだまだトップリーグでもプレーができる年齢で、サウジアラビアに渡ったわけだが、実はその翌シーズンもアンフィールドで戦う世界線もあったようだ。
同選手は当時移籍を考えておらず、次のシーズンに向けて気持ちを高めていたが、サウジアラビアからのオファーで状況は一変。クラブ側が放出にも前向きな姿勢に疑問を持ち、クロップ監督とも話したが、残留を説得しなかったことが、中東行きが加速したと吐露した。
「クラブを離れて、ヨーロッパの他のクラブに行きたくなかった。」
「そこは世界で最高のプレーする場所であり、選手として成長し続けるための場所だと思っていた。クラブでの僕のレガシーと歴史をさらに大きくしたかったが、最後のシーズンは非常に過酷で、疲れるものだったんだ。良い結果を残せず、チャンピオンズリーグの出場権を逃した。何試合か先発のポジションを失ったが、そういうこともある。」
「前のシーズンが良くなかったにもかかわらず、次のシーズンに向けて、とても良いメンタリティでプレミアリーグのタイトルをふたたび争いたいという気持ちで戻ってきた。」
「しかし、シーズンが始まる前に、アル・イテハドがオファーを提示し、リバプールの首脳陣はそれがクラブにとっても僕にとっても非常に良いものだと伝えてきた。僕が不安になり、(コーチングスタッフが)何と言うか見るために待つことにしたんだ。チームにおいて重要な選手だと思っていたので、どんなオファーも拒否すると思っていたが、売却することに前向きだと気づいた。」
「クロップ監督は僕に電話をして、何を望んでいるか尋ねた。」
「オファーを聞いて気に入ったが、彼がどう思うか聞きたいと伝えた。彼は、もし出て行きたい選手がいれば、引き止めないと返答した。それは僕が去るための扉を開くような発言だったんだ。」
「監督とのその会話次第では残留もあったかと思うが、彼は移籍の可能性を開かれたままにし、僕はそれがあまり好きではなかった。決断を下す前にいつも祈りを捧げる。リバプールは僕が愛するクラブだが、その時に起こったことが僕の人生をアラビアへと導いた。平和な気持ちで、自分の決断に満足して去ったんだよ。」
The Guardian
