出番を求めてアンフィールドを離れた22歳MFハーヴェイ・エリオットが苦しんでいる。アストン・ヴィラへ期限付き移籍したものの、ヴィラ・パークで希望していたプレー時間を得られず、プレミアリーグではたったの96分間の出場のみ。
当初、リバプールが期待したのは、プレミアリーグの舞台で安定した出場機会を得て、さらなる成長を遂げることだった。しかし、現実はウナイ・エメリ監督の戦術的な構想から外れ、出場機会に飢える日々が続いている。
イギリスメディア『Team Talk』によれば、アストン・ヴィラ側がローン契約の早期打ち切りを画策しているようだ。つまりは、この冬でのリバプール復帰が間近に迫っていることを意味する。アルネ・スロット監督にとっても想定外の事態と言えよう。
エリオットがアストン・ヴィラで苦しむ背景には、ウナイ・エメリ監督の戦術的な判断だけでなく、クラブ間の契約に潜む経済的駆け引きが存在する。エリオットのローン契約には、彼が一定の試合数に出場した場合、アストン・ヴィラがリバプールに対して3500万ポンドの移籍金を支払い、完全移籍に移行するという買い取り義務の条項が盛り込まれている。
自身の志向する堅固な守備とカウンターを基調としたフットボールにおいて、エリオットをインサイドハーフやウイングとして起用する機会を見出せずにいる。出場時間が伸びないのは、指揮官の戦術的な選択であると同時に、ヴィラ側がこの高額な買い取り義務の発動を意図的に回避しようとしているのは明らか。
そもそもPSRの制約に抵触に触れる可能性もあるヴィラだけに、クラブ経営の視点から見れば、3500万ポンドという金額は無視できない重荷となる。エメリ監督がエリオットの将来について「話し合いが行われている」と公に認めおり、ローン契約の早期終了が間近に迫っていることを示している。
もしエリオットが予定より早くリバプールへ復帰すれば、スロット新監督にとって、シーズン後半戦に向けた強力な戦力補強になり得る。FIFAの規定により、22歳のミッドフィルダーは今季、リバプールとヴィラ以外のクラブでプレーする道は閉ざされている。
その卓越した戦術的万能性と、左足から生み出される創造性をアンフィールドでも活かせるチャンスは増えている。絶対的なエースのモハメド・サラーの動きが低迷し始めており、現時点で右ウィンガーの本職がいないだけに、元々同ポジションでプレーしていた経験が活かされるかもしれない。
また、フロリアン・ヴィルツら大型補強を実施したリバプールは、ここまで様々なフォーメーションや戦術を試してきた。決して成功しているとは言い難いが、ユルゲン・クロップ時代から前線の形が変わる可能性もあり、中盤の真ん中など新たなポジションで才能が開花する未来もなくはない。
現時点でアストン・ヴィラがローン移籍を継続する理由はないに等しく、リバプール復帰が既定路線。はたして、出番に恵まれなかったエリオットは、アンフィールドで再出発を図れるのだろうか…？