アンフィールドの空気を一変させる劇薬は、常に移籍市場の喧騒の中から生まれる。今夏、リバプールはフロリアン・ヴィルツ、アレクサンデル・イサクといった欧州のトップタレントを次々と引き入れ、その補強戦略はフットボール界の大きな注目を集めた。
しかし、ドイツ代表MFはプレミアリーグの強度に苦しみ、スウェーデン代表FWはコンディション調整に苦しむ中、真のサプライズは、その大物たちの陰で静かに、だが確実に輝きを放ち始めた一人の若きストライカー、ウーゴ・エキティケの存在である。
彼の加入は、巨額の移籍金と、即座に結果を求められるという、途方もない重圧を伴っていた。特に、ヴィルツやイサクといったスター選手が同時期にチームに加わったことで、エキティケにかかる期待値は天井知らずに高まっていたと言える。
だが、そのプレッシャーを力に変え、今やフットボール界の重鎮から「プレミアリーグ最高の補強」とまで称賛されるに至った。さらに、フランス代表でも初ゴールを奪うなど、新天地でも真価を発揮し続けている。
元マンチェスター・ユナイテッドのストライカーであり、プレミアリーグ歴代得点ランキングで3位に名を連ねるウェイン・ルーニーは、エキティケのパフォーマンスを目の当たりにし、その評価を隠そうとしなかった。
ルーニーは、今季24試合で11ゴールを奪い、モハメド・サラーやコーディ・ガクポらウィンガー陣よりも攻撃を活性化させているエキティケについてこう語っている。
「彼は、プレミアリーグにおける最高の補強のひとりだ。いや、最高と言ってもいい。拍手を送るべきだ。なぜなら、彼にかかるプレッシャーは途方もなく大きかったに違いないからだね。」
「当然、かなりの移籍金がかかっているし、リバプールがヴィルツとイサクを獲得したことで、チームに入り込むための巨大なプレッシャーが彼にはのしかかっていた。そして、彼はゴールという点でも、総合的なプレーという点でも、彼らにとって最も一貫性のある選手となっている。彼のプレーには、私が好む、少しばかりの態度が見られるのも良い。」
この言葉は、リップサービスではない。エキティケが残している具体的な数字が、その評価を裏付けている。そして、ただゴール前にいて点を取るだけではなく、ミッドフィルダー陣とも絡み、攻撃を展開させられる。
ゴール前での冷静沈着なフィニッシュに加え、献身的な守備と、前線からの効果的なプレスを厭わない現代的なストライカー像そのもの。動き出しの質、特にディフェンスラインの裏を突くタイミングの鋭さは、リバプールの攻撃に新たな次元をもたらしている。
ライバルのイサクがトッテナム戦で負傷し、しばらく離脱が決まった。フェデリコ・キエーザもセンターフォーワドとして起用されるものの、本職はやはりウィンガー。現時点では唯一のセンターフォワードであり、ワールドカップ出場に向けても今後も得点とアシストを期待してしまう。
はたして、シーズン終了後により高額な移籍金のかかったイサクやヴィルツよりも良い成績やパフォーマンスを見せ続けられるか注目したい…
