遡ること2010年。フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)は低迷していたリバプールを買収すると、クラブ運営に一貫性をもたらした。スタジアムを計画的に拡張し続け、補強に関しても的確な獲得で瞬く間にチームを蘇らせた。
2015年にはユルゲン・クロップ監督が就任すると、チームは歴史上での最高峰のクオリティを発揮。プレミアリーグでも最高のフロントスリー、ゲーゲンプレス、強固なディフェンスラインを形成し、過去数シーズンに渡り、マンチェスター・シティと熾烈な優勝争いを繰り広げている。
ところが、2022年11月上旬にビッグニュースが飛び込んできた。FSGはリバプールの売却を検討しており、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが売却プロセスを進めているというのだ。わずか数週間だが、すでに世界中からオファーが届いているとも言われ、好条件かつリバプールにとって最適なオファーがあれば、新たなオーナーが誕生することに。
金満であれば誰でも良いわけではなく、今後のクラブ運営に適しているオーナー陣にしか売るつもりはないと述べており、金の亡者にクラブの権利が渡ることはなさそうだ。それでも、クラブをここまで引き上げたオーナーが去るのはなんとも悲しい。
売却時期がいつになるかは全く未定であるものの、数ヶ月の間になるかもしれないし、数年後になるかもしれない。FSG共同創業者であり、リバプールの会長も務めるトム・ワーナー氏は、時期に関しての明言を避けつつも、売却を検討していることを改めて肯定した。
「我々は売却を検討しているが、緊急性もなく、タイムフレームも設けていない。私にとってみれば、これまで通りのビジネスだ。」
「ひとつの結果として、我々がしばらく運営を続けることかもしれません。」
the Globe
一時代を終えることになるのか。新たなオーナーを迎えて、さらなる強さを手に入れるのか。未来については誰にもわからないが、世界的に見ても最高級のオーナーであったことに変わりなく、現時点でも最高のオーナーである。
現場とのチームワークも良く、新たなオーナーにも同様の姿勢を期待したい。ビッグネームに投資しないことで度々批判に晒されることもあるが、収支バランスを健全に保つことは経営として当たり前。お金の流れを複雑化させ、様々な会社を通してファイナンシャル・フェアプレーを回避しながら、ビッグマネーを投じるクラブにはなって欲しくはない。
とは言え、主力組が高齢化してきているだけに、後継者獲得は進めてもらいたい。ファンとしてもどかしい気持ちだが、フェンウェイ・スポーツ・グループであれば、売却完了までの仕事に加えて、売却先の選定で丁寧な仕事をしてくれるはずだ…