遡ること7月1日、アスレティックFCが破産申請を行った。日本のJ2に相当するEFLチャンピオンシップに所属するクラブで、かつてはプレミアリーグでも躍動した。ハイライトは2013年のFAカップ制覇。マンチェスターC相手に、現ベルギー代表監督ロベルト・マルティネスが指揮するチームは延長の末、1点をもぎ取り勝利。
ジェームズ・マッカーシーやパウル・シャルナー、ベン・ワトソンなど通にはたまらない味のある選手を有し、粘り強い戦いを繰り広げた結果であった。ちなみに、当時マンチェスターCには、いまやリバプールで人気かつ元気なおじさん、ジェームズ・ミルナーが所属していた。
イングランド期待の若手ジョー・ゲルハルトはリバプール出身で、イングランドU16に召集以来、順調にステップアップ。クラブレベルでも、今シーズン2度のスタメン出場を含む17試合で出番を得て、1ゴールを記録。昨年もリバプールは獲得を試みたようだが、将来有望な選手をウィガンも簡単には手放さなかった。
最大の強みはドリブル。ハーヴェイ・エリオットとはまた違うリズムで、ゆったりとしたドリブルながらも相手を抜き去っていく。18歳とは思えない身体つきで、多少の当たりでは物ともしないフィジカルやバランス感覚も秀でている。
リバプールではウイングでの起用が予想される。スピードもないことはないが、現有ウインガー陣の走力を考えると、センターフォワード(CF)での起用も面白いかもしれない。役割は異なるが、慣れ親しんだCFを本人は希望する可能性も高い。
なぜゲルハルトの獲得が噂されているかといえば、ウィガンの経営状況が要因。破産申請しており、主力や有望株を売却しなければいけない状況に追い込まれている。そんな状況下であるが故、普段の相場よりも安く獲得できるのではないかと囁かれている。本人にとっても地元への帰還はメリットになるだろう。
しかし、他のクラブも放っておくわけがない。トットナムをはじめ、複数のプレミアリーグに所属するクラブが触手を伸ばしている。そのため、移籍金が高騰してしまう可能性も否めない。短絡的解釈だが、その辺はマイケル・エドワーズ(スポーティング・ディレクター)がうまく立ち回ってくれると期待している。