バイエルン・ミュンヘンからニューカッスル・ユナイテッドを経由して、1999年の夏にリバプール入団を果たした元ドイツ代表MFディトマール・ハマン。アンフィールドでは283試合11ゴール27アシストと、派手さはないが堅実的なプレーぶりで中盤を支え続けた。
有名な『イスタンブールの奇跡』では、スティーブ・フィナンに代わり途中出場。それまでACミランに好き勝手にされていた中盤にバランスをもたらし、前半3失点からの逆転勝利に大きく貢献。引退後はストックポートで短期間だけ監督を経験し、その後はサッカー解説者として活躍している。
チャンピオンズリーグ第3節アトレティコ・マドリード戦は古巣リバプールが幸先よく2点のリードを奪い、予想外な試合展開で幕を開けた。2点目を決めたのは、今季クリスタル・パレス戦で綺麗なボレーを沈めたギニア代表MFナビ・ケイタ。今回も見事なミドルシュートでのゴールを決め、いまやケイタの代名詞ともなっている。
しかし、守備面での軽さも顕になった。反撃の狼煙となったアントワーヌ・グリーズマンの1得点目だが、その前のプレーでトマ・レマルに簡単に突破を許し、ゴールに繋がってしまった。同点弾の場面でも、ジョアン・フェリックスに簡単に交わされ、決定的なパスを許した。
45分間で、ファビーニョに代わりベンチに退いた同選手。ユルゲン・クロップ監督によれば、疲れを考慮しての交代であることを強調しているが、元リバプールMFディトマール・ハマンは元RBライプツィヒMFを痛烈に非難している。
「(アトレティコの)2つのゴールについては、ナビ・ケイタの責任と言わざるを得ない。」
「これまで度重なる怪我を負ってきたことは理解しているが、リバプールにとって十分ではない。」
「あのようなゴールを決めれば、自信に満ち溢れる。だけど、守備のタスクは果たさなければならない。彼はリバプールがポゼッションを持っているときに、ただボールを持ってプレーしたいだけに見えて仕方ない。」
「あのプレーはやってはいけないし、必要なレベルに達していない。2失点のシーンでの対応は、あまりにも簡単だった。」
ナビ・ケイタのプレーぶりに全く満足していないリバプールOBだが、その矛先はディフェンスラインにも向けられた。裏を簡単に取られる場面も多々あり、何度もピンチに陥れられた守備陣にも懐疑的で、すぐさま改善が必要であると主張している。
「リバプールの守備については、2度も失点しており平均的だった。さらなる失点は防げたのは、2つか3つの好セーブがあったからで、アリソン・ベッカーは傑出していた。」
「ここは彼らが解決しなければならないことだね。」
「チャンピオンズリーグとプレミアリーグを制したのは、守備力がどのチームよりも優れていた時期だった。火曜日の試合では、あまりにも簡単にチャンスを作られ、ゴールも許してしまった。」
マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれたリバプールGKアリソン・ベッカーの好セーブがなければ、2点のリードをひっくり返されていた可能性が十分に考えられた。高い位置で構えるディフェンスラインの背後を効果的に突かれたシーンには対処法を週末までに考え出さなければいけない。
プレミアリーグ次節の対戦相手マンチェスター・ユナイテッドには、カウンターで力を発揮する選手も多く、アトレティコ・マドリードの攻撃を参考にアタックを組み立てるかもしれない。クロップ監督は原則同じシステムで戦い抜くため、現時点のフォーメーションで対応しうる策が必要不可欠。
なにもいまに始まった話ではなく、ゴールキーパーとのディフェンス陣との連携強化や中盤から前の選手たちがタフにプレッシングを行えるかも鍵になりそう。そう考えると、守備の強度に欠けるギニア代表MFの扱いにも今後注目が集まるだろう…